海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
二人に打ち明けた後は、いつもと同じようにホームルームがあり、いつもと同じカリキュラムで授業が進んでいった。


違うのは私の気分だけ。


ほぼ上の空の状態のまま、低いテンションで授業を受けていた。


そしてとうとう簿記の時間になった。


当然、相葉先生が来る。


授業が始まる前は、恥ずかしさと居心地の悪さで異常なほど落ち着かず、


昨晩、電話で“今すぐ会いたい”なんて言ってしまった事を思い出し、それが普通は恋人に言う言葉だと気付いて、今更ながら後悔していた。


きっと、この休み時間中の私は、不安になったり照れてみたり、

言葉を発する事もなく、ただ、表情だけがクルクルと変わっていたと思う。


「はぁ…。」

色んな後悔を感じて、自然に溜め息が漏れた。


そして定刻通りに扉が開くと、相葉先生が入ってきた。


先生を一目見ただけで、決まりごとのように胸が高鳴る。


チャコールグレーのスーツに、涼しげなメタルフレームのメガネ。

背筋を伸ばして颯爽と歩く姿も、聡明な印象の短い髪も、


『やっぱり好きなんだ。』


そう、感じさせた。
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