海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
ワープロ検定が近付いてきたある日、同じ日に3級を受ける事にした瑞穂と、放課後のパソコン教室で一緒に練習をする事にした。


検定が近付くと、居残り練習をする生徒が増える。


最近の相葉先生は、いつも放課後のパソコン教室にいるわけではなく、

最初に練習をしたいと言った生徒に鍵を渡して、最後に鍵の回収と施錠の為に立ち寄るという事が多くなっていた。


「パソコン教室、開いてるのかなぁ?」

「とりあえず、行ってみよっか。」


私達は鍵が開いているかが分からないまま、パソコン教室に向かった。


扉を引いてみると鍵はかかっていなく、私達は中へと入った。


鍵がかかっていない時は、大抵先に誰かが練習を始めている事が多かったのだけれど、この日は誰も練習していない。


「開いてるのに誰もいないなんて珍しいね。」


そう話しながら、私と瑞穂は不思議な気持ちでパソコンが並ぶ教室内を歩いた。



「…?」


私は準備室の方に人の気配を感じて、何となくそちらの方を振り向くと、その光景を見た瞬間、自分の表情が暗く変わっていった事を感じていた。


私が見たパソコン教室と準備室の間の壁には、はめ込み式のガラス窓が一箇所だけある。


そのガラス窓の向こうにある準備室には、パソコンを前にして楽しそうに話している、相葉先生と大崎先生がいたんだ。


話の内容なんて分からないけれど、大崎先生が何かを相葉先生から教わっているように見えた。
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