海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
私達の後ろでガチャガチャと鍵をかける相葉先生を待ち、そのまま先生と一緒に廊下を歩いた。


「先生、お腹空いたー。」


送れだの、お腹空いただの言っている瑞穂に


「そうだなぁ。」


そう言って、呆れたように笑いながら相葉先生は私を見た。

たったそれだけで、気持ちが通じ合っているような錯覚に陥いる。


『幸せで目眩がしそう…。』

心から、そう思っていた。


そんな風に歩いていると、先生が向かう職員室までの距離なんてあっという間で、


『もっと、もっと、一緒にいたい。』

と、ワガママになっている自分に気付く。


そのワガママさゆえに、名残惜しさいっぱいの気持ちで


「先生、さようなら。」


瑞穂と一緒にそう言うと、


「さようなら。」

と、微笑んで相葉先生は職員室に入っていった。


私は先生の姿が見えなくなるまで肩越しに見送り、

この僅かな時間が私にとってささやかな幸せだった。



ねぇ、先生。

幸せだと思ってもいいよね…?

せめてこの位の幸せだけでも、

私は大切にしたいんだ…。
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