海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
翌日も学校にプレゼントを持って行ったけれど、休み時間の相葉先生は職員室にいる事が多くて、全く渡すチャンスがなかった。


『肝心な時に限って会えないんだなぁ…。』


私はそんな風に感じていた。


用意周到に準備してきて、結局、誕生日当日が訪れた。


朝からソワソワしながらも、

『本当は今日渡すのが一番いいもんね。』

そう、前向きに考えてみようと思った。


休み時間に時々、職員室かパソコン教室に行って先生の様子をうかがい、そしてお昼休みになった。


バッグにプレゼントを忍ばせてパソコン教室に行き、教室のドアに手をかけると嬉しい事に鍵は開いていた。


『先生がいるかもしれない…。』


そう思うと急に緊張しだして、足がすくんでしまいそうだった。


今まで何度も告白をしたけれど、電話ばかりだったし、

相葉先生に自分の気持ちが伝わるような何らかの行動を起こしたのは、ディズニーランド以来の事だった。


しかもその時より、ハッキリと先生の態度が分かるようなシチュエーションである事も、

反対に私の気持ちもハッキリと伝わるであろう事も明らかで…


自分でもおかしいと思うけれど、あんなに渡したくてウズウズしていたのに、今頃怖がりになっている。


“河原の気持ちには応えられない”


この言葉を言われた時のように、プレゼントを受け取ってもらえないかもしれない。


そう思うだけで怖かったんだ…。
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