海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
「実はもう、告白したんだ。」

「えっ?」


琴美の返事は正直、私が想像していなかった言葉で、


「それで…どうだった?」


私は冷静を装っていたつもりだけれど、本当は…


『もしも、琴美の気持ちを受け入れていたらどうしよう。』


そんな不安でいっぱいだった。


私も琴美も同じ生徒同士なのに、琴美が受け入れられて、私は拒否されたのだとしたら、辛すぎるから…。



「ダメだった。」


私はその返事を聞いた時、心の底からほっとしている自分を思い知った。


結局私は最後まで友達の幸せを願う事が出来なかったのだと、自分自身が醜くも思える。



「さくちゃんは告白しないの?」

そんな琴美の言葉に、


「したよ。私もダメだったんだぁ。」

と、即答しながら


『私もフラレたんだよ。もう何回もフラレてるんだよ。』

そう、心の中で付け足した。


「そっか…。」


私の告白の結果を聞いて小さく返した琴美も、もしかしたらほっとしていたのかもしれない。


むしろ、そうであって欲しいと思った。


それは琴美の幸せを望めなかった自分を少しでも許して欲しいという、罪悪感なのかもしれない。



「でも諦めない。本当に好きだし。」

「私も。」


私の言った言葉に即答で返ってきた琴美の返事から、“本気なんだ”っていう気持ちが伝わる。


私も琴美も、

お互いに譲れないような、本気の恋をしていた。
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