海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
「あ…。」


校舎から出てきた相葉先生と目が合い、その時だけ時間が止まったような感覚になったけれど、ほんの一瞬見つめ合っただけで相葉先生は目を逸らした。


止まった時間は、何事も無かったように再び進み始めていた。


続いて私と目が合った大崎先生は、すぐに視線を逸らすと相葉先生と一緒にテニスコートに入っていった。


大崎先生が私を見た時の表情は無表情で、珍しく、ツンとした印象が残った。


『大崎先生は私の相葉先生への気持ちを知っている。』


私はその時の大崎先生の様子で、そう直感していた。


知っていても不思議じゃなかった。


私が頻繁に相葉先生の所へ通っている事だって知っていただろうし、


もしかしたら、私が相葉先生に電話した時に大崎先生が相葉先生の部屋にいた事だってあったかもしれない。


そう、思ったんだ。



「さく?」


少し先を歩いていた梢に声をかけられて、


「うん、今行く。」


慌てて私は梢の元へと駆け寄った。


抜けるような青空が眩しい、最高の休日。


仲良くテニスをする二人なんて、


本当は一生、見たくなかった。
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