海に降る恋 〜先生と私のｷｾｷ〜

―――――…

しばらく経ったある日の放課後。


瑞穂と梢は先に帰り、私はパソコン教室で練習をしていた。


その時の私は少しだけ練習して帰ろうと思っていた。


検定が終わったばかりだったせいか、ここで居残り練習をしている生徒は私一人だけだった。


当然、琴美達もいない。


自分一人だったおかげで雑念が沸かなかったのだろうか。


私は思いの外、集中して練習する事ができた。



ガラッ


ドアが開く音がしたので見てみると相葉先生が入ってきて、先生は驚いた表情を浮かべながら、


「なんだ、まだ練習してたのか。」

そう、私に声を掛けた。


「えっ？」


私も時計を見てみると、時刻は１８時半に近づいている。


「えっ！もうこんな時間！？」


集中していてどれだけ時間が経っていたのか全く気付いていなかった私は、

ふとブラインド越しに窓の外を見てみると、季節は初夏だというのに既に薄暗くなり始めていた。


『この教室が日陰のせいかな。』

そう思いながら不安げな表情で外を眺めていた私に、


「もうそろそろ帰った方がいいぞ。ここも閉めるし。」


そう言いながら相葉先生は私の傍に来て、今まで練習していた私のパソコン画面を見た。



「うん、よく出来てる。」


相葉先生はそう言ってニッコリと微笑んだ。


「先生が教えてくれるからね。」


私が肩をすくめて笑いながら答えると、


「河原はいつも頑張ってるな。」


相葉先生は何かを考えているような表情で、ポツリと呟いた。


「えっ？」


私が隣にいる相葉先生の顔を見上げると、

先生は優しく、そしてちょっとだけ切ないような…

そんな表情をしていた。