海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
「先生、私、やってみる!」


絶対に相葉先生の期待に応えたいと思った。


私が合格したら、先生は喜んでくれるだろうか。


そんな気持ちが心の中に広がっていった。


すると、相葉先生が


「もし何だったら、家で使ってるワープロを持ってきて検定を受けてもいいんだよ。」


と、提案してくれた。


もちろん、今では考えられない事なのかもしれない。


普通は学校や試験会場のパソコンを使うものだから。


「じゃあ、自分のワープロでやろうかな…。でも使っていい場所ってあるの?」


パソコン教室の中を見渡しながら、相葉先生に聞いてみる。


「場所の心配はいらないからやってみるといいよ。」


そう言って、相葉先生は優しく笑った。



『こうなったら、とにかく頑張らなくちゃ!』



…こんな風に相葉先生が薦めてくれた検定の事を考えながら、私はキッチンに立っていた。


この嫌いな休日に、お菓子を作る事にしたのだ。


先生に渡すお菓子を何にしようかと随分迷った挙句、ようやく決めたのがシュークリームだった。


『先生、喜んでくれるかなぁ。』


そう思いながら作っていると、元々大好きなお菓子作りはいつもより楽しくなっていた。


相葉先生の事を思うと色んな事が楽しくて、色んな事を頑張れる力が出てくる。


毎日がどんどんキラキラしていく。


先生と出会ってから、私は恋のパワーを実感していた。


『明日持っていこう。』


一番良く出来たものを綺麗にラッピングし、先生に渡す準備を整えた。


『先生、喜んでくれるかな。』


相葉先生の笑顔を思い浮かべて胸がドキドキと高鳴ったまま、私はワープロの練習を始めた。
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