海に降る恋 〜先生と私のｷｾｷ〜

『あんなに強く抱き締めてくれたのに、どうしても気持ちは受け止めてもらえないのかな…。』


そんな風に、嫌でも少しの期待を持ってしまう。


だけど、


『相葉先生は私の事が好きじゃなくても、ああいう事が平気でできるのかな。』とか、


『男の人ってそういうものなのかな。』とか。


間逆の事を思ってしまうのも確かだった。


何度も玉砕して自信が持てない私に、前向きな事だけを考え続けるなんて不可能だったけれど、


そんな事を繰り返し考え続けている内に、確信できた事があった。



“あの時の相葉先生は、ほんのひと時だったとしても、私をただの生徒ではなく、一人の女の子として見てくれたんじゃないか”


という事だった。



私がいつも以上に、相葉先生は男の人だと意識したせいかもしれないけれど、


今まで学校で二人っきりになった時、あんな素振りは一度も見た事がなかったんだ。




「どうして生徒なんだよ…。」


最後に聞こえてきた相葉先生の言葉が、いつまでも耳から離れない。




私が生徒じゃなかったら、私達にはもっと違う未来が待ってるのかな。


ねぇ、神様。


お願いです、本当の事を教えて下さい…。




心の中で祈る内に、私は力尽きてもう一度深い眠りに落ちていった。




そして目が覚めたら…。


私が望む“本当の事”を知る前に、もっと辛い現実が待っていた―…