海に降る恋 〜先生と私のｷｾｷ〜

「さく！呼び出し！」

と、瑞穂が興奮気味に、そして梢は


「早く行っておいで！」

と、身を乗り出して私に言った。


この合図は誰もが分かる事合図だった。


クラスのみんなが「頑張れー！」と、まだ話を聞きに行くだけにも関わらず、


今すぐに試験を受けにいくかのように興奮気味で送り出してくれた。



「行ってきます！」

そう言って、私は足早に教室を出ると、階段を駆け下りて職員室に向かった。



「失礼します。」

挨拶をしてから職員室に入り、入り口から割と近い所にある学年主任の先生の席に向かった。



「先生、河原です。」

名前を告げると、


「ああ、来たか。」


そう言って、学年主任の先生は一枚の求人票を取り出した。


それを見た途端、


『やっぱり！待ちに待っていた就職の話！』

と、就職試験が受けられそうだっていう事にホッとしていた。



「河原の希望は事務だったよな？」

先生の質問に、


「はい。」

私は迷う事無く、頷きながら返事をした。



「河原に就職の話があるんだ。」


学年主任の先生は求人票を見ながら、その会社の説明を始めた。


今回の募集理由は結婚退職する人の欠員補充で、その人も私が通っている高校の卒業生らしい。


業種と配属される部署、就業時間や基本給、採用になった場合の仕事の引継ぎの事なども詳しく教えてくれた。



「多分、決まりやすいだろう。」


先生はそう、言っていた。


そして、


「ここ、受けてみないか？」


という先生の質問に、私は迷わず


「はい。」


そう、答えた。