海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
教室に戻ってきた担任の先生が、出席番号順に通知表を配り始めた。



「河原ー。」


私は先生から通知表を受け取ると、自分の席に戻って開いてみた。



成績はまぁまぁ。


簿記とワープロが5であれば、他は3以上であればいいかなっていう気持ちだった。




今回や、今後の成績に関係するかは分からないけれど、


思えば、この12月という1ヶ月だけで、校内で沢山の検定試験を受けた。



珠算の2級。


ワープロの1級。


簿記の3級。


英検の準2級…。


就職の事と重なりながらも、色んな事に挑戦した月だった。


結果は全部1月に出るらしい。


きっと結果は散々だろうけれど、やるだけやったという達成感に満ちていた。





ホームルームが終わった後、私はいつものように瑞穂と梢と3人で学校を出た。



「寒いねー。」


まだ明るい時間帯だったけれど、冬の空気はピンと張り詰めたように冷たい。


「さく、本当にいいの?」

「うん、いいの。ありがと。」


瑞穂たちの確かめるような言葉に、私は笑顔で頷く。



今までなら終業式が終わった後、帰る前に必ずパソコン教室の準備室に寄っていた。


だけど、今回は会うと変に気まずくなるような気がしたので行く気になれなかったのだ。



「どうもありがとね。」


私はもう一度、瑞穂と梢に笑顔を向けた。


こうして複雑な心境のまま、私は長い休みに突入した。
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