海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
私の就職が決まった事を、周りの人達はとても喜んでくれた。


私が勤める事になった会社が、この街では割と大きかった事もあるし、希望職種に就ける事も喜んでくれていた。



特に両親の喜びは大きく、


「安心したなぁ。これで安泰だなぁ。」


そう言って、嬉しそうにお酒を飲む父を見ていたら、


『両親を安心させる事が出来て良かった。』


当然、そう思う気持ちもあるし、


自分自身、卒業後の生活について安心出来た分、嬉しかったのだけれど…


だけど、やっぱり心の底から喜べない思いがあって…


この時…


喜んでいる人を前に、私はちゃんと笑えてたのかなって思う。



両親とか友達とか、喜んでくれる人以上に喜べていない事に罪悪感を感じたし、


まだ就職が決まらない人だっている中で、


『なんて贅沢な事を言ってるんだろう』


そう、自分自身を責める事もあった。




そんな風に落ち込み、


『相葉先生にどう思われるんだろう』


と、余計な不安で震える自分でい続ける事は、ダメだと思ったんだ。
< 205 / 446 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop