海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
「ごめん…。」


相葉先生がそれ以上何も言えない様子で俯き、ほんの少しの沈黙が私と相葉先生の間に流れていた。



そして私は口を開いた。


「先生、最後に一つだけお願いを聞いて下さい。」

「何?」


顔をあげて、不思議そうに私を見つめる相葉先生に、


「ほんのちょっとでいいから、手を膝に置いて目を瞑って。」


そう、お願いすると、



「なんだよそれ。嫌だよ。」

そう言って、恥ずかしそうに笑いながら拒む相葉先生に、



「もう最後なんだよ!?最後に一つぐらい、私のお願いを聞いてくれたっていいじゃない。」

と、駄々をこねた。


きっと、これが初めてのワガママだったと思う。



「えー…。」


困り顔の相葉先生に、私が笑いながら、


「お願いだから。」


と、もう一度せがむと、相葉先生は渋々、


「…少しだからな。」


そう言って、私の言う通り、膝に手を置いて目を瞑った。


「いいって言うまで、絶対、目ぇ瞑っててね?」


私が念を押すと、


「はい、はい。」


観念したかのように、相葉先生は目を瞑っていた。
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