海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
だからこそ、


『相葉先生の事は考えちゃいけない』


そう、思っていた。



『早く忘れなくちゃいけない』


そう、思うようにしていた。



時間が経てば、いつかは心の中から相葉先生の姿は消えていくのだと信じて。



好きな人の事を諦めなくてはいけないのだと、こんなに強く思ったのは初めてだった。


それが簡単に出来る事だったなら、


きっと、とっくに諦める事が出来ていただろう。



その機会は、今までに何度もあったけれど、


それでも、ずっと出来なかったのだから…


想いを断ち切るって事は、決して簡単じゃない。


人の気持ちなんて、すぐには変えられない。


そんな風に、思い通りになんてならない。




だけど、




“恋を忘れるには、新しい恋が一番”



どこかの誰かが言っていたその言葉を信じて、


新しい恋を必死に掴もうとしていた。


私にとって、相葉先生を忘れる方法はそれしかないのだと、


本気で思う位、必死だったから。


藁をも掴むような思いで、


早く新しい恋をしなければならないと思っていた。
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