海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
翌日も、いつものように自動車学校に行った。


この日は、本試験前の最後の実地訓練で、


私の担当は今日も青山先生だった。



「河原さん、今日で最後だよね?」


車に乗り込んで来た青山先生が、ファイルを見ながら聞いてくる。



「はい。」

私がそう答えると、



「ん!」

と、返事をしながらファイルにハンコを押して、



「じゃあ行こうか。」


そう言って、爽やかな笑顔を私に向けた。



『多分、みんなこの笑顔にやられるんだろうな…。』


そんな風に思った私も、


運転席と助手席という距離で見ていて、ちょっとだけドキッとしていた。



私は、ちょっとでも“いい”と思える人を早く好きになれたらって…


そうならなくちゃいけないって、


そう思ってたから―…



『この気持ちが、恋になったらいいのに。』


無意識の内に、そう願っていたのかもしれない。




私は、爽やかな笑顔を見せる青山先生に向かって


「はい。」


そう答えると、ゆっくり車を発進させた。
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