海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
いつも、実地訓練の授業は早く時間が過ぎていくように感じる。


車を運転するのは、練習でも楽しかった。


事故に遭ったりしたら大変だから当たり前だけど、


運転をしている間、青山先生の口数は少なく、


どちらかと言うと、授業が終わってから話す事の方が多かった。



休み時間中、たまたま私と瑞穂が一緒にいる姿を見た青山先生から、


「二人はいつも一緒なのなー。」


そうやって、笑われた事があったっけ…。




最後の実地訓練が終わり、車のドアノブの手をかけた私が降りる前に、


「本試験、頑張って!」

と、青山先生が声をかけてくれた。


その言葉を聞いた瞬間、ドキンと胸が鳴ったけれど、



「はい。頑張ります。」

いつもと何も変わりなく、私は笑顔で答えた。



「合格したら教えてくれよ?」

「もちろんですよ!」

私は頷いた。


“試験に合格したら、一緒に自動車学校に挨拶に行こう”


瑞穂と前からそう決めていたから、私は本当に青山先生の所に行こうと思っていたんだ。




「ありがとうございました。」

挨拶をして車から降りると、


「お疲れ様。」

青山先生は片手を上げて、車に乗って去っていった。
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