海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
――――…

自動車免許の本試験は、私も瑞穂も無事に合格した。


「良かったね!」


私も瑞穂もとっても嬉しくて大喜び。


「合格したよってお礼に行かなきゃね。」


自動車学校の先生方にその報告が出来る事を、私達は楽しみにしていた。


青山先生には「教えてね」って言われていたけれど、


その他の先生の中にもお世話になった先生は沢山いたので、


みんなにお礼を言いたいと思っていた。


免許を取っても、専門学校に進学する事が決まっている瑞穂は、まだ車を買わないらしい。


両親が反対していると言っていた。


逆に私は通勤の為に車が必要だったから、近日中には納車される事が決まっていた。


『きっとこれからは瑞穂と一緒に、私の車に乗って色んな所に遊びに行けるんだろうな。』


そう思うと、楽しみで心が躍った。




瑞穂と相談し、私の車で自動車学校に挨拶に行く事になったその日は、


車が納車された数日後の事だった。




講習と講習の合間にある15分間の休み時間は、どの先生もバタバタと忙しそうなので、


私と瑞穂は、全ての講習が終わる時間に行く事にしていた。



家を出る前、


「気を付けて行きなさいよ。」


と、母から何度も念を押された。


当然と言えば当然の母の心配に、


「大丈夫!」


私はそう答えたけれど、本当はドキドキしていた。


免許取り立ての状態で瑞穂を乗せて運転する事も、久しぶりに先生方に会える事にも…。



もしもこのドキドキが、青山先生に会う事が原因だとしても、


私は、それはまだ恋ではないと思っていた。


ただ単に、久々に会える事に緊張しているだけだって思っていた。
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