海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
「あの…相葉先生、覚えてます?」



『本気で先生が好きだったなんて、引かれるかもしれない』


そんな不安に駆られながら言ってみた質問に、松井さんは即答で


「相葉?知ってるよ、ワープロのでしょ?」


「はい。」


「…相葉が好きだったの?」


「…はい。」


松井さんが一言確認する度に、さっきまでの笑顔が消えていくのに気付いて、私は何となく暗い気持ちになった。


けれど、


“相葉先生への想いは過去の事”


そう開き直った私は話を続けた。



「でも、大崎先生と付き合ってる感じなんですよね。」



それを聞いた松井さんは「あぁ…。」と言いながら何度も頷くと、


「よく相葉のアパートに大崎先生の車、停まってたもんね。」


そう、言った。



私はその言葉に心臓が飛び出そうな程、ドキンとしてしまった。


この事は在学中の生徒の中でも、僅かな人しか知らない事なのかもしれないと思っていたから。


だから、私は本当に驚いていた。



「松井さん、知ってたんですね。」


私の言葉に、松井さんは当たり前のように答えた。


「うん、みんな知ってたよ。見かけてた人がいっぱいいたもんね。」



その言葉を聞いた瞬間、


『二人の事は暗黙の了解だったのか…。』


そう思えて、私はますます暗い気持ちになっていく。


反面、私はこの時、


『相葉先生と大崎先生の関係は、余りにも目に付きやすくて堂々としていたから、学校の中では噂にもならなかったんだ。』


そう、解釈した。
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