海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
そんな私を前にして、松井さんは何かを思い出したように言葉を続けた。


「私の友達が青山先生の事をすっごく好きで、免許を取った後に青山先生の事をつけたんだって。」


「つけた?」

キョトンとする私に、


「そう、つけたの。尾行。仕事帰りの青山先生を待ち伏せして、車で尾行したんだって。だけど撒かれたって言ってた。」


そう言った松井さんは、思い出しながらニヤニヤしている。



「それで、どうなったんですか?」


私は、松井さんの友達と青山先生が、その後どうなったのかが気になっていた。



「いや、別に何もなかったみたい。結局どうにも出来なかったんじゃないかな。」


そう言った時の松井さんの表情から、言葉に間違いが無い事を察した。



「その先生と会ったりしてるの?」


「えっ…。まぁ、時々…。」


口ごもりながらそう答えると、


「うまくいくといいねー!」


そう言って、松井さんは嬉しそうに笑った。


純粋に応援してくれてるんだって思う。



「はい。」

私も照れながら、そう答えたけれど、


その心の中の半分以上で、相葉先生の事を考えていた。



私の学年の生徒の内、どれ程の人が相葉先生と大崎先生の関係に気付いていたのだろう。


今更だけど、


『知っているのは自分だけかもしれない』


そんな風に思っていた自分は、本当にバカだと思った。
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