海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
――――
―――――…

青山先生と会った時は、いつも帰る前に次の約束をしていた。


次の約束を切り出すのは、殆どの場合が私から。


『青山先生なら、きっと好きになれる。』


そんな思いで週に1~2回会い続けて、4ヶ月程経った頃の出来事だった。




青山先生と約束していたのは、先生の仕事が終わる20時。


先生の自宅近くにある施設の駐車場が、いつもの待ち合わせ場所になっていた。



季節は夏に差し掛かり、


私は薄手のワンピースにカーディガン、サンダルという服装で、青山先生が来るのを今か、今かと待っていた。


今日の予定はドライブ。


どこに行くかなんて、まだ決まっていない。


行く場所なんかどうでも良くて、ただ青山先生と楽しく過ごせればいいと思っていた。


ドライブの時に聞こうと思って用意した、最新ヒット曲を集めたMDや、最近発売されたアルバムCDなども準備万端。


『早く来ないかな…。』


そんな風に思いながら待っていると、暗い駐車場の敷地内とその前の道路に、車のライトが差し込んだ。


「青山先生!」


青山先生には絶対聞こえていないだろうけど、私は呼びかけながら手を振ると、


先生は自分の車を私の車の隣に着けた。


「お待たせ!乗って。」


窓を開けて手招きしたので、私は急いで自分の車から降りた。


「お疲れ様でした。」


そう声をかけながら青山先生の車に乗り込むと、先生はまっすぐ前を見たまま、


「ん。」


そう言って軽く頷いてから、車を発進させた。
< 273 / 446 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop