海に降る恋 〜先生と私のｷｾｷ〜
―――――…

必死に練習し続けて、とうとう検定日当日になった。


今日まで何回も相葉先生に添削をしてもらったし、出来る限りの準備はしてきたつもり。


それでも、


『いつも通りに出来るかな…。』

と、不安が募る。


前に先生が言ってくれた

「自宅のワープロを使ってもいいんだよ。」

…という言葉に甘えて、自宅からワープロを持ってきた。


学校のパソコンよりも使ってる時間が圧倒的に長い分、より使い慣れてるし、一番ベストな状態になると思ったからだ。


検定試験は放課後だった。


「さく、頑張っておいで！」


そう言って、瑞穂と梢が送り出してくれた。


友達の中で私がワープロ検定を受ける事を知っているのは瑞穂と梢だけだった。


その理由は、特別隠していたわけじゃないけれど、敢えて言う必要も無いと思ったからだ。


「行ってきます！」


私は荷物を持ち、二人に手を振ってからパソコン教室に向かった。


パソコン教室の前に着くと、教室内には既に沢山の先輩達がいて、嫌でも時々されてきた嫌がらせが頭を過ぎる。


『嫌だなぁ…。』


教室内を見た途端に入りずらさを感じた私は、ドアの前で中に入る事を躊躇い、立ち止まった。


でも、逃げるわけにもいかない。

嫌でもやるしかなかった。


ハァー…


私は深呼吸をすると、勇気を振り絞ってパソコン教室のドアを開けた。
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