海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
瑞穂の言葉に私はボロボロと涙を零しながら、


「私も、相葉先生以上に好きになれる人はいないような気がする…。」


そう言って、止まらない涙を何度も拭った。


もういい加減目が痛かったけれど、どうしても止まらなくて、自分を落ち着かせるべく、私は深く息を吸った。


思えば、相葉先生の結婚の事を知って以来、誰かに自分の胸の内を聞いてもらったのはこの日が初めてだった。




もしかしたら、この先いつかは相葉先生以上に好きになれる相手と出会えるのかもしれない。


だけど、私には相葉先生以上に想える人が現れるなんて思えなかった。


そんな人に出会えるなら、この1年間でとっくに現れていたんじゃないかって思うから。



『こんな恋は、もう二度とない。』


そう、思っていた。




「時が心を癒してくれるのを待とう…?」


瑞穂の言葉に、


「ん…ありがとう…。」


そう言って、今の私にとって精一杯の笑顔で答えた。



私の心が癒されるのは、一体いつになるんだろう。


どれだけ待てばいいんだろう。


どれだけ待てば、楽になれるのかな―…



その答えは、今はまだ出せない。


私はただ、相葉先生の結婚を祝福してあげられる日を待ち続けるしかなくて、


だけど、そんな日はそう簡単に訪れず、



仕事をしていても、


ご飯を食べていても、


テレビを見ていても、


お風呂に入っていても、


何をしていても、自然に涙が溢れる日が続いた。
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