海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
「分かりました。私なりに頑張ってみます。うまくいかない事も有るかもしれませんが、どうぞ宜しくお願いします。」


そう言って椎名先生に向かって頭を下げた私に、


「よく言ってくれたわ!頼むわよ、きっとあなたなら大丈夫だから。その3ヶ月で大きく成長できるはずだし、頑張って!」


椎名先生は満足そうに笑った。


私が依頼を引き受けた事が本当に嬉しかったのだろう。

椎名先生の大きな目は、とても輝いていた。



「はい!頑張ります!」

「今月の中旬辺りに、その施設で打ち合わせがあるから一緒に行きましょう。」

「はい、宜しくお願いします。」


私はもう一度、椎名先生に頭を下げた。


訓練の内容はWord、Excel、Access。


自分が受けた訓練の内容と同じだけれど、

実際の所、私が受けたAccessの授業時間の殆どは、他の教科に使われたので無知に近かった。


近々担当するWordの授業。

そして、来月から始まる訓練の授業。


とてもじゃないけれど、のんびりしていられる状況では無かった。



椎名先生の期待を裏切りたくない。


それに、何より―…


相葉先生と同じ道を選んだ以上、ほんの少しでも相葉先生に近付けるように努力しなければならないと思っていた。


なぜなら、私にとってパソコン講師の原点は相葉先生だから、


『恥にならないように頑張らなくちゃ、一生相葉先生に顔向け出来ない』


無意識の内に、そう感じていたのかもしれない。



私は、パソコン講師という仕事へのやる気に満ち溢れていた。




椎名先生から“訓練を担当して欲しい”という依頼があった、その日の夜―…


本当は夕飯の準備をして、大和の部屋で待っていてあげたいと思っていた。


そのつもりだった。


だけど、


帰宅してすぐ、適当に食事を済ませた私は、自分の部屋で地元から持ってきたノートパソコンと向き合っていた。
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