海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
けれどそれは未練とは違う。


うまく言葉では言い表せないけれど、そういう事じゃなくて。


多分、大和も。


“ただ、とにかく相手の幸せを願ってる”


それを言葉にして相手に伝えたりはしないけれど、もしかしたら、そんな関係になっていたのかもしれない。


だからこの電話があった時も、少しだけお互いの近況報告をしただけで、すぐに電話は終わった。




それっきり、大和と話をしていない。


大和に助けを求める事も、逆に求められる事もなかった。


それこそが平穏無事に、幸せに暮らしているという証だと信じている。




自分の部屋の窓から外を眺めると、ついつい大和が住んでいたマンションに目を奪われた。


既に大和がいない事は分かっていても、癖になった行動というものは何年経っても変わらないらしい。


そして私は必ず思う。


とにかく、今出来る事を精一杯やるだけだと。


ただ、それだけなのだと―…
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