海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜

真実

翌日の月曜日。


いつも通り学校に行き、

「おはよう!」

と、瑞穂と梢に声をかけた。


私を見た瞬間、二人ともギョッとした表情をしてから、恐る恐る


「どしたの…?」

と、聞いてきた。


理由はもちろん、泣きすぎて腫れた瞼に気付いたのだろうし、


何より、


腰辺りまで伸びたトレードマークのロングヘアが、突然、肩下10センチ位まで短くなっていたからだろう。


休み前の時点では、何の前触れもなかったのだから、


『何かあったんじゃないか』


そう思われても仕方がない。



「へへ…。」

「さくー…。」


二人の視線により、私はまた少しずつ涙で目を潤ませて微かに笑った。


すると立ち上がった二人が私の手を掴み、


「ちょっと、あっちに行こう。」


そう言って教室を出ると、一番人気がない所まで私を引っ張っていった。


「…さく、何があったの?」


瑞穂が心配そうな表情を浮かべて私に問い掛けた。


もしかしたら瑞穂は、

『自分の一言が原因なんじゃないか。』

そう思っていたのかもしれない。


「うん…。」


私は俯いたまま、ゆっくりと週末の出来事を話し始めた。



相葉先生の自宅の住所と電話番号が分かったこと。

先生のお家まで行って、偶然会ってしまったこと。

電話で告白したこと。

そして、失恋したこと―…



話しながら時々顔を上げる度に、余りにも二人が哀れむような表情で聞いていたものだから、


「でもね、やっぱり“まだ諦められない”って思ったから、もう一度頑張る事にしたの!その為に気合いを入れようと思って、バッサリやったんだぁ!」


そう言って、私は短くなった髪の毛先を摘み上げて笑った。


思い返せば、こんな長さになったのは中学1年生以来の事だった。
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