海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
「そっかぁ…。」


瑞穂は『なんて返したらいいものか』と、考えている様子だったけれど、すかさず梢が、


「さくがそう決めたなら頑張りな!応援するから!」


そう言って、ギュッと手を握り締めてくれた。


その手の温かさが、もう一度私の目を潤ませた。


だけど気付けば梢と瑞穂も同じように目を潤ませてて、3人ともいつ零れ落ちてもおかしくない位、目にいっぱいの涙を貯えながら笑い合っていた。


「頑張ろう!」

そう、何度も言いながら。


私は瑞穂と梢を見ながら、

『なんて温かい二人なんだろう。』

そう、思っていた。



だけど…


心の中では、まるで何事も無かったかのように相葉先生と過ごしたいと思っているのだけど、実際の私はそんなに器用な人間ではなくて。


せっかく相葉先生の授業があったのに、気まずさが優先された結果、教室に入ってきた先生と目が合った途端に顔を背けてしまった。


“もう一度頑張る事にした”


瑞穂と梢にはそう言ったものの、簡単に今まで通りにはなれず、その時、窓に映った自分の顔は今までで一番強張っていた。
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