海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
目が合った時の相葉先生は、一瞬だけ驚いた顔をした気がした。


目が腫れてる事に気付いてしまったのだろうか。


それとも、髪を切った私に呆れたり、引いたりしたのだろうか。



『どう思ったんだろう…。』


相葉先生の気持ちが気になったけれど、当然、聞ける訳がない。


ひたすら先生と目を合わさないようにして、この日の授業が終わった。


『もしかしたら先生の心の中にも私と同じような気まずさがあるのかな―…』


そんな疑問が過ぎったけど、この日の私は授業中だけではなく、廊下ですれ違う時も相葉先生から顔を背けて過ごした。


あんなに通っていた放課後のパソコン教室も、この日は行かない事にした。


“行かなかった”って言うよりは“行けなかった”が正しい気がする。


顔を背け続けたのもそう。


どんな顔をして先生と顔を合わせばいいのかと思うと、怖くて、とてもじゃないけれど向き合う事が出来ずにいたんだ。



その次の日も、


そのまた次の日も…


私は相葉先生を避け続けていた。



どうしても先生の事を諦める気持ちになれないのに、


先生とどんな顔で話せばいいのか分からないまま、


気付けば4日間も相葉先生を避け続ける生活が続いていた。


そんな私を見兼ねたのだろう。


手を差し伸べたのは、ずっと様子を見ていた瑞穂と梢だった。
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