海に降る恋 〜先生と私のｷｾｷ〜
思えば、最後に放課後のパソコン教室に入ったのは１週間以上前の事だった。


私が告白して、見事に玉砕して。


その後時間が経てば経つ程、私と相葉先生の距離が離れていくばかりだって事くらい、私にもよく分かっていた。


その証拠に、毎日少しずつ接点が無くなっていく事が怖くなっていたから。


だから、瑞穂には本当に感謝してる。


もちろん、梢にも。


二人がどれ程心配してくれているのか、分からない方がおかしい。



３人で向かったパソコン教室には、あっという間に到着した。


無意識の内に入り口で深呼吸をし、緊張をほぐそうとしている自分がいた。



「じゃあ、行くよ？」


私がコクンと首を縦に振ると、瑞穂はパソコン教室の準備室をノックした。


「はい。」


相葉先生の声が聞こえた瞬間、心臓が飛び跳ねるように“ドクン”と鳴った。


あの失恋から１週間以上、相葉先生と話していない事が、こんなにも自分を緊張させるとは思わなかった。


「失礼しまーす。」


躊躇する事なく、瑞穂がドアを開けると、


「おっ。」


そう言って相葉先生は、まず先頭に立っていた瑞穂を見てから、すぐに瑞穂の後ろにいた私に気が付いた。


この時、先生と見つめ合った時間はほんの一瞬。


だけどこの一瞬は、十分に私の胸を高鳴らせた。


「先生、この前出せなかったプリントを持ってきましたぁ。」


そう言って瑞穂がプリントを差し出すと、


「ああ…。」


そう返事をしながら、瑞穂のプリントを相葉先生は受け取った。


最後に入ってきた梢は、


「パソコン教室ってこんな感じなんだぁ。」


と言いながら、準備室から見えるパソコン教室内を眺めている。



「まだ何かあるのか？」


特に何かをする訳でも、聞く訳でもないのに準備室を出る気配が無い私達に、相葉先生が問い掛けた。


すると瑞穂は、


「私の用事はプリントを持ってきただけなんだけど…。」


そう言いながら、私を見た。
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