海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
それからほんの少しだけ相葉先生と談笑をして、私達はパソコン教室を出た。


ほんの少しでも相葉先生との時間を過ごせたのは、本当に瑞穂と梢のおかげだし、二人がいてくれたから、私のぎこちなさを少しずつ解く事が出来たんだと思う。


私一人だったなら、あとどれだけ時間がかかっただろう。


そう思うと、感謝してもしきれない位だった。



パソコン教室を出てすぐに、


「瑞穂も梢も、どうもありがとう。」


私はとっても穏やかな気持ちで、隣を歩く二人に心からのお礼を言った。



『また相葉先生と、今までと同じように過ごす事が出来るんじゃないか』という安心感。


それがこんなにも穏やかな気持ちにするなんて、自分でも驚きだった。


“今までと同じ”で、果たして恋が実るかどうかは分からない。


けれど、


『少なくとも今まで以下の関係にはならないだろう。』


そう思えるだけで、私は本当にホッとしたんだ。


「全然!」

そう言って瑞穂は笑い、


「初めてパソコン教室に入れて楽しかった!」

と、梢は梢なりに楽しんでいたようだった。


「私、頑張るね。」


私のその一言に、瑞穂も梢も「うん」と、少し不安げな表情を含めた笑顔で頷いた。


この先、相葉先生が私を好きになってくれるかどうかなんて分からない。


もしかしたら、うまくいかないかもしれない。


だけど、


『また傷ついても、諦めないって決めたんだから頑張ろう。』


この気持ちだけが、今の私を動かしていた。
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