海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
「さく、やったじゃん。」


修学旅行の説明が終わり、ホールから教室に戻る途中、梢と瑞穂が私の腕に自分の腕をからませて、コソッと囁いた。


「うん。」


嬉しさを隠し切れずに、私は顔をほころばせた。



相葉先生が一緒の修学旅行なんて、全然予想していなかったから。


修学旅行っていう、学校生活の中で一番の思い出になると言ってもいい位の一大イベント。



相葉先生と同じ所に行って

同じものを見て

同じご飯を食べて

同じホテルに泊まる。



こんなに“同じ”が沢山あるなんて、滅多に起こる事じゃない。


私はその事を考えるだけで、ずっと心の中でわだかまっている大崎先生の事を、少しだけ忘れる事ができた。



「今週末、修学旅行に持っていく服を買いに行こうよ!」


私も梢も、瑞穂の提案に大賛成で、週末は3人で買い物に行く事にした。


修学旅行中は基本的に殆どの行動が制服だけど、ホテルの中では私服で良いと学年主任の先生が言っていた。


もちろん「派手なものは禁止」というのが、校則の厳しいこの学校の決まり文句。


もしも私服で相葉先生に会った時に、少しでも可愛いって思われるような格好がしたいから、口うるさい先生に怒られない程度のお洒落をしようと思う。


私達は3人揃ってウキウキしながら週末を待った。
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