海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
パタン…




静かに部屋のドアが閉まると、


「…それにしても、さっきの瑞穂の“キモイ”は凄かったねー!」

「だって、キモイって思ったんだもん!」


指摘された瑞穂は恥ずかしそうに笑っている。


緊張の糸がほぐれたのか、私達は先程起きた事を思い出して笑い合った。


ちゃんと反省はしているけれど、何事もなかったからこそ、こうして笑い話にする事が出来た。


“怒られた”と暗く落ち込むわけにもいかないし、ちょうどいい位だったのかもしれない。


私達はしばらくの間、突然やってきた男の子達の話で盛り上がり、その最中、私はそっと窓の方に近寄って外を見下ろした。


すると、相葉先生と担任の先生が2人、そして他校の先生が3人。


窓の外で懐中電灯を持ってウロウロしているのが見えた。


相葉先生の姿を見つけた時、目が合った気がした。


街灯が灯っていたけれど、それでも外は暗かったし、


『気のせい?』

そう思いながら相葉先生に向かって手を振ってみる。


すると、相葉先生はニコニコしながら手を振り返してくれた。


『気のせいじゃなかったんだ。』


そう思いながら私は更にもう一度手を振ると、名残惜しかったけれど瑞穂と梢がいる方に戻った。


『先生ごめんなさい。でも、ありがとう。』


そう、心の中で呟きながら…。
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