海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
翌日―…


私達は楽しみにしていた京都へと向かった。


先生達が見回りをしてくれた昨晩は、歩き疲れた事もあってグッスリと眠った。



『きっと相葉先生達も疲れてたんだろうな…。』


そう思うと、すごく申し訳ない気持ちになった。


朝、ホテルを出る時にロビーで相葉先生を見かけて、


「おはようございます。」


そんないつも通りの挨拶と一緒に、もう一度お詫びをしようかと思ったけれど、


「おはよう。」


相葉先生はいつもの笑顔で通り過ぎていき、私は完全にタイミングを逃してしまった。


結局お詫びが出来ないまま、京都初日のプランである、お寺巡りに出発した。


瑞穂と梢と私。

いつもの3人で修学旅行の行列について歩いた。


金閣寺や銀閣寺、西本願寺、東本願寺、清水寺…。


北野天満宮では梢が合格祈願の絵馬を書き、

地主神社では3人揃って真剣に縁結びのお守りを買った。


「梢は彼氏いるじゃん!」

「これからも仲良くいられますようにっていう願掛けだもん。」


そんな瑞穂のツッコミに答えながら梢は笑っていた。


私達は行く先々でおみくじを引き、瑞穂はその全てが“凶”で苦笑いしていたけれど、


「そこまで続くと逆にラッキーかも!?」

と、3人で瑞穂に幸せが訪れる事を願った。


予定通りの場所を回り終えてホテルに戻った頃には、色んなお寺や神社の事が、頭の中いっぱいに詰まっているような状態で、


『行く先々でお願いし過ぎたかもしれない。』


そんな感じだった。
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