To be alive again
「翠」
呼ばれて顔を上げるとすぐさま唇を奪われて、息もつけないほどの深い口付けで思った以上に甘い声が漏れる。
「まだ余計なこと考えてる余裕あるのか?」
「…話すり替えられた気がする」
翠は不満げに言い返す。
抗えないけど、不満くらい漏らしたっていいよね?
だって、もっと話したいって言ったのに、結局こういうことに持ち込まれちゃったんだから。
そんな私の言葉に彼が少し意地の悪い笑みを口元に浮かべて、そして言った。
「じゃぁ一番好きなものだけ教えてやるよ」
なになに?と少し期待して彼を見上げると、彼はわざわざ私の耳元に唇を寄せた。
「お前」
告げられた言葉に、完全に撃沈させられた。
「見るのも触るのも、食べるのも…一番好きだ」
「食べ…っ わ、私、食べ物じゃないんですけど!!」
この程度しか言い返せないのが悔しい。
でも悔しいことに、彼の言葉で麻痺させられた頭ではこれしか言い返せなかった。