To be alive again

「似たようなもんだろ?」

彼はクスクスと翠の耳元で笑って、更に追い討ちをかけるように翠の耳朶を甘噛みしてくるから、堪えられない吐息が翠の唇から漏れる。

「翠、凄く可愛い」

絶対にわざと言ってるのが判っているのに、耳元で彼の声がするとゾクゾクと身体が反応してしまう。

完全に手玉に取られてる。

ずるい。

普段好きだとか、可愛いとか絶対に言わないのに。

こういうときにだけ言うの、すっごくズルイ。

初めて可愛いって言われた時に、嬉しくてもっと言ってとねだったら逆に普段は絶対言ってくれなくなった。

言った事なかった?と翠の反応を楽しむように笑って。

別に言わないけど、ちゃんと可愛いと思ってるよ?と悠然と微笑まれて。

それ以来、こういうときにしか言ってくれない。

それなのに言われたらやっぱり嬉しいらしく、身体の奥がきゅうっとなる。

彼はそれも全部判っててやってるんだから、本当に性格が悪い。

結局、いつも通りに完全に彼のペースで、だけどたくさん愛してもらった。
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