To be alive again
「…やっぱり先生って呼ぶの…やめようかな…」
「好きに呼べば?」
どっちでも良いよと彼は言うから、翠は運転する彼を見ながらつぶやいてみる。
「真一郎?真一郎さん?真一郎くん…真…、真ちゃん?」
首をかしげながら一通り呼んでみた翠を、彼は運転しながら笑っていた。
「どれもしっくり来ないんだけど」
あまりにも『先生』が馴染みすぎていた。
だけど、いつまでも教師と生徒でいたくない。
『先生』と呼んでいると、いつまでも彼に甘えてしまうような気がした。
「呼び方一つにそんなこだわるなよ」
クスッと呆れたように笑ったあとに、彼はニヤリと口元に笑みを浮かべた。
「別に先生で良いぞ?
可愛い生徒にイケナイ事してる気分を味わっとくから」
「それやだぁ!!」
思わず叫んで、この変態教師!と睨んでしまう。
折角色々真面目に考えたのに。
お母さんの事とか…、真面目な話だったはずなのに。
「そのうち、名前で呼んで」
思ってなかった言葉と共に、頭をくしゃくしゃとなでられた。
やっぱり翠は、彼に勝てない。