To be alive again
CMが終わって再開したドラマをなんとなくそのまま二人で観てしまう。
普段は、翠も真一郎もドラマなんて殆ど見ないのに。
画面の中では、少年が何故教師の車に乗ったのかを詰問されて、返答に困っている。
「車、乗せただけでこんな怒られんのか」
俺らアウトだったじゃないか、と画面の中の緊迫感とは対照的な真一郎の暢気な声が上から降ってくる。
「先生、アウトとかいわないでよぉ」
翠は傍らにある真一郎の右脚にしがみついた。
「ねぇ…怒られるかもって思ってた?」
翠は他の人に邪魔されたくない、とは思っていたけれど、怒られるんじゃないかとか、そういうことは考えたことが無かった。
何もやましいことは無かったんだから。
車に乗せてもらう時だって、大抵は翠が電車に乗れない様な時だったから、それがいけないことだとは思って居なかった。
いつも後部座席なのを不満にすら思っていた位なのに。