To be alive again
それはもう、別人の様ににこやかだったから。
彼曰く、「三者面談とかあんな感じ」だそう。
…ずいぶんと猫を、それも普段の素とは全く違う特大の猫を被るのが上手なのだと、知り合って8年目にして初めて知った。
普段はいろんなこと容赦なく言うし、口悪いし。
こんな…変態じゃない男は居ないとか堂々と言う人なのに。
「卒アルでも見たし…DMとかにも…書いてあるし」
「ああ、そういうこと」
納得したような彼の声を聞きながら翠は思う、何この今更間の漂う会話!!
翠と彼はお互いの性格云々に関しては知り尽くしてる気がするのに、こういう普通なら最初にしていそうな情報交換が一切無い。
考えてみたら、翠は彼の誕生日がいつかとか、血液型とかしらない。
実家がどこかとか、家族の事とか、何にも知らない。
でも、彼は翠の家はもちろん家族構成も知っているし、もしも高校生の頃にもうすぐ誕生日なんだよ、と話したのを覚えているなら…誕生日だって知っている、はず。
彼の方が口数が少ないだけなのだけど、いろいろ不公平な気がしてきた。