To be alive again
今はまだ未来のままで
金曜日の夜、店は今日も程よく繁盛している。

奥の個室は、キッズスペースの様におもちゃが広げられて、楽しそうに遊ぶ子供達の姿。

子供も一緒に連れてこれる飲み屋のように定着したのは、ここ数年の事。

子供を持つ親をターゲットにした、フリーペーパーに載ってからだった。

母が肺を悪くしてからずっと禁煙だったのに、あまり知られていなかったらしい。

急に煙草が吸えなくなった事を嫌がる人も少なくなかった。

一時的だったけれど、確かにあの時客足は遠退いた。

だけど父は、頑として禁煙を貫いた。

だから母は大好きだった店で最後まで働けた。

店で働きたい、母の願いを父は出来うる限り叶えたのだ。


渚はそう思っていた。
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