To be alive again

母は15年程前に亡くなったけれど、店は相変わらず禁煙のまま。

今は禁煙だから来てくれるお客さんが大切だった。

ガラッと聞こえたのは、店の入り口ではなく奥の裏口の音。

家で何かあったのかしら?と頭をよぎる。

2人の息子はもう夕飯を食べて行ったし、特に何もないはずだけど。

そう思いながら視線を投げると、姿を現したのは息子ではなく…弟だった。

「来るなら来るって言いなさいよ」

顔を見るとつい小言のように言ってしまうのは、きっと幼少期からの癖だ。

「別にいつ来たって飯あるんだから良いだろ」

めんどくさそうに言う弟の傍らに、ふわふわとした茶色い髪の女の子。

…女の子って年でもないはずよね、と思い直すけれど、少し緊張した面持ちで小さく渚に頭を下げた弟の彼女は、高校生の息子が連れてきた彼女よりも可愛いような気がした。
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