To be alive again
彼は翠が高校生だった頃よりは色々話してくれるけど、でもやっぱり自分のことをあんまり話してくれない。
もう教師と生徒でなくなった今なら、訊いたら教えてくれるのかな?
「先生」
「ん?」
「先生、何が好き?」
「…何って、食い物?」
「食べ物もだけど、いろいろ。私…先生の事何にも知らない」
少し落ち込んだ翠の頬を彼が撫でて、小さく笑う。
「別に、わざわざ聞かなくてもいいだろ」
それって、言いたくないってこと…?
そんな不安に囚われて彼を見上げると、彼は小さく笑う。
こつんと額をぶつけて、間近で翠の瞳を覗き込む彼の瞳には翠の反応を楽しむような悪戯っぽい表情が見えた。
「そのうち判るだろ?
…ずっと一緒に居るんだから」