To be alive again
「煌は?」
「兄ちゃん、バイト」
真一郎の問いに隆成が短く答えると、真一郎が少し眉根を寄せた。
「バイトしてる暇あったら勉強しろっつっといて」
隆成は、はいはーいと聞いているのか聞いていないのか良く判らないから返事を返してリビングに引っ込んだ。
真兄、という呼び名を反芻しながら真一郎を見上げると、視線に気付いた真一郎と目が合った。
「もう1人、煌大ってのがいるんだけど。
アホなのに勉強しねーんだよ。
大学どうするつもりなんだか」
呆れたように言うのを聞きながらクスクス笑う。
やっぱり、どこに居ても教師の性からは逃れられないらしい。
「ね、真兄って呼ばれてるんだね」
叔父さんとかじゃないんだ、と言うと彼は少し微妙そうに頷いた。
「あぁ、うん。
あいつら生まれた頃、俺20位だったし。
お前、今おばさんって呼ばれたい?」
「…やだ」
それはまだ嫌、と首を横に振る。
「…奥、行くか」
その言葉に何となく翠が緊張したのに気付いたらしく、真一郎は翠の肩を軽く抱く。
「だいじょぶだよ。文句もなんもいわねーから」
言われるわけないだろ?と揶揄して笑うその表情は、少し寂しげだった。