To be alive again
彼の指先が背骨を伝って、翠は思わず肩を竦めた。

耳元にかかった髪を掬われて、首筋を指先で撫でられて、耳朶を甘噛みされて絶えられなくて小さく声をもらした。

「お前、耳ホント弱いな」

彼が、耳元でクスクス笑いながら囁く。

「好きなもんくらい、一緒に居たらそのうち判るだろ。

お前の事抱いたら抱いただけ、お前の事わかんのと一緒だろ?

だから…」

だから、もっと俺に抱かれろ。

絶対違うと思うし、話自体を全く別のものにすり替えられた気がするのに、耳元で囁かれた言葉に抗えない。

だって知らなかった。

普段あんなにドライなのに。

ちょっとじゃれついたって全然つれないのに。

それなのに、そういうスイッチが入ったらこんなに愛してくれる人だなんて考えもしなかった。
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