Only Three Months
「サーから、庶民学校でのふたりの成績を聞いている。
 この短期間でも多くのことを吸収してくれると信じているよ」
「ありがとうございます」


庶民学校での知識が、どれだけ通用するんだろう。
ずっと王族で過ごしていると、国王みたいな人間になってしまうんだろうか。

いや、アリーはそうならなかった。
父親があんな人間でも、自分をしっかり持ってる。

アリー…
今、どうしてる?


「それから、エド」
「はい」
「エドには、マイクの執事として動いてもらう」
「え?」


オレとエドの関係が、変わるのか?
エドがオレの執事になるなら、実質エドが下の立場になる。
オレがもともと王族だって知ったのが最近で、エドとの関係も特に変わってなかったのに。


「執事と言っても、今まで通りでいいんだ」


オレたちの不安を察してか、サーが言ってくれた。


「ふたりの関係を変える必要はない。
 マイクのそばに居ることができるエドにしかできない仕事でもある」
「その通りだ。
 エド、王位継承者の執事であることを誇れるときが、きっと来る。
 なろうと思ってなれるわけじゃないからこそ、エドが適任なんだ」


父親の言葉に、エドがうなずく。
たぶん、この場を収めるため。
混乱はし続けてるはず。


「ふたりには1週間は自由に過ごせると伝えたな。
 しかし、見通しを改めてつけると足りなくてな。
 ダンに日記も読みたいだろうが…」
「自分のためなのは分かっています。
 今しなければいけないことがあるなら、従います」
「その理解に感謝する」


オレたちに関しての話が終わって、自由解散になった。
環境がどんどん変わってく。
今までこんなに急激に物事が動いたことはなかったのに。
< 101 / 133 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop