Only Three Months
「マイク、かっこよかった」
「え?」


いきなり、エドに言われた。


「サーの言うことに従うって言ったのが、かっこよかった」
「そうしなかったらオレたちは生活できないだろ」
「そうかもね」


高等階級にいきなり引き上げられた。
そんな環境の変化があって、高等階級の人たちろ一緒に過ごす。
慣れようと思ったら、サーの言うことを聞くしかない気がするんだ。



それからに日を開けずに、オレたちふたりの王族教育が始まった。
今ヴィクトリア王国に暮らすオレたちが、ヴィクトリア王国の王族として認められるのかは分からない。
サーの身分も正確に聞いたことがない。

ただ言えるのは、オレがもともと王族で、その振る舞い方を知っておいて損はないこと。
アリーに会うためにも、オレが身につけておくべき知識だ。

一日中あると思っていたアルバートの貴族からの授業は、午前中だけだった。
貴族たちが間の時間を使ってくれるんだろうとは予想していた。
それでも、代わる代わる誰かが来て、午後も授業だと思ってたんだ。

だから、午後からの暇な時間は、エドと一緒に父親の日記を読んだ。
オレたちにとっては、午前中の授業よりも日記を読む時間が大事だったのかもしれない。
時間の進み方が違ったから。


“マイクが3歳を迎えた。
 一緒にいられるタイムリミットがもうすぐそこまで近づいている。
 私は今、この日記を専属医に付き添ってもらって書いている”


「これが、最後の日記だ」
「うん」


読み始める前に、次の日記を探したけどなかった。
衰弱していたのか、文字が弱々しくなっていた。

エドとふたり、日記を黙読する。
長いと思っていた日記も、もう、この記事だけで終わってしまう。
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