Only Three Months
「…ダンが息を引き取った瞬間、私はその場にいなかった。
 眠っている間に逝ってしまったからだ。
 朝、いつものように面会に行って、もう動かないことを悟った。
 不思議と、慌てずに済んだんだ。
 すべての手順を用意周到に教えてくれていたから」


1つの国が動く話だ。
オレの父親が亡くなってからのアルバート王国は、サーにかかってた。
王妃も国王も亡くなって、オレはまだ3歳で。
サーが混乱すれば、国の混乱に繋がる状況だったんだ。

「葬儀やお別れの会の手配を順番にしていった。
 国交のある国へも連絡をした。
 隣国ということもあり、ヴィクトリア王妃はアリーと一緒に葬儀に来ようとしたんだ。
 国王が、それを止めた。
 ヴィクトリアの国王・王妃・姫が葬儀に来なかった。
 これが、どういうことか分かるか?」


隣国、つまりは近距離。
病気などの理由がない限り、葬儀に出席するのが通例。


「隣国としてはあり得ない対応」
「その通りだ。
 国際的にヴィクトリアの態度は大問題となった。
 だから、いまのヴィクトリア王国は国際会議でも立場が弱い。
 それを国王が自覚していない。
 王妃とアリーは分かっているのに」


サーの話を聞けば聞くほど、アリーがあの性格なのが不思議だ。
オレにも言えるのかもしれないけど、辛抱強いというか。


「私が王位を継承できていれば、アリーがあんな目に遭うことは避けられた。
 私が守ってやれたはずだからだ。
 しかし、私は即位できなかった」
「なんでですか?」


エドが、無垢に聞く。
オレには、仮説があった。


「アルバートの歴史と憲章が障害となった。
 アルバートは原則長男が王位を継承する。
 歴史上次男が国王になった例がない。
 憲章にも、長男継承について記載があったんだ」
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