Only Three Months
「アルバートの血を引いている姉が、どうして今ヴィクトリアの貴族として生きているのかが私には分からない。
 ただ分かるのは、アルバート王国を占拠するための情報を買われていること。
 それ以外のことは手がかりがない」


同じ家系だと思うとぞっとする。
おそらく、女である叔母はアルバートで権力を持つことができない。
だから、自分の義妹を殺し、弟を殺し、国を売った。


「…姉は、私に取引を持ちかけた。
 アルバートが戦争をヴィクトリアに仕掛けるより、合理的な取引を、と」


内容にはオレが絡むんだろう。
今のオレの生活、アルバートのみんなの生活を見れば、予想はつく。


「王族・貴族を含めたアルバート国民全員の拘束と引き換えに、国をヴィクトリアに渡せというものだ。
 ただし、マイクを除いて」
「それでオレは叔母と住むことになるんですね」


サーはうなずいて、話を続ける。


「姉の取引に乗ることが、そのとき考えられる最善だった。
 生活が制限されるが、命は保証される。
 完璧に戦争に備えていたヴィクトリアに勝てはしなかっただろう」


オレが叔母と生活したことで、救われた人がたくさんいたんだ。
アルバート国民全員が救われたと言ってもいいのかもしれない。

そう思えば、オレがあんな生活をしていたことにも意味があったと思える。
王位継承者として、国民を守ったんだ。

アルバートの貴族はオレのことを覚えていた。
他の国民は覚えているんだろうか。
オレのことがあまり公にされてなかったみたいだし、覚えてない人もいるんだろうな。


「サー」
「なんだ、エド」
「なんで、ヴィクトリアはマイクをほしがったんですか」
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