Only Three Months

「マイクがヴィクトリア側にいれば、アルバートは攻撃できない。
　そう考えていたんだろう。
　そして、それは当たっていた」


国を明け渡し、オレをも差し出した。
実の姉に。

エドが、質問をどんどん続ける。


「サーも殺される予定だったんですか」
「殺せるなら殺していたんだろう。
　ただ、私は幼い頃、友好の証としてヴィクトリア王国に住んでいたことがあってな。
　それで姉が手を出せなかったんだろう。
　姉は、親戚全員を殺そうとしていたから」


縁を切ることができない王族という関係だったからか。
両親を殺し、殺せる状況だったらサーも殺されていた。
そんな叔母と、9年間も一緒に住んでいたなんて。


「マイクと別々に暮らすようになっても、姉にとってマイクは必要な存在だ。
　マイクが王位継承者で、この国家取引の鍵だから」


オレはうなずいた。
自分の知らないところで、大きなことが行われてるってこういう状況のことだよな。
自分のことなのに自分のことじゃないように聞こえる。


「アルバートの人間は、各家庭でこの話を話しているはずだ。
　ヴィクトリアでは一切教えないことだが、マイクのことは皆が知ってる」
「今でも、アルバートの領地に？」
「そうだ、最近は開けていないが、定期的に集会も行っていたんだ」

「アリーの件で、真っ先に疑われたのはサーですか」
「それをマイクが気にする必要はない。
　ヴィクトリアの王妃が、私ではないと否定してくれた」


アルバートの関係者に疑いがかかったのは確かだろう。
オレがヴィクトリアに誘拐されたようなものだから、仕返しと取られてもおかしくはない。
報道でそういう話を見なかったのは変な話かもしれない。


「…もうこんな時間か。
　きっともう夕食だ。
　私は先に行くから、また聞いてきなさい」
「はい」


オレとエドは顔を見合わせた。
お互いに、情報を整理する時間が必要だった。