Only Three Months
「マイク、起きて!」


エドに起こされて、顔を洗う。
綺麗にアイロンのかかった、エドとおそろいのタキシード。
お互いに髪をセットしあって、ふたりで食堂へ。
大人も子どもも勢揃いだった。


「何も言うことがないな」
「え?」
「似合ってるってことだよ。
 ヴィクトリアの中に入っても見劣りしない」
「ふたりとも早く食べなさい。
 あとでちゃんと整えてあげるから」


エドの母親に急かされて、朝ご飯を食べる。
舞踏会は午後からだと思っていたら、今回は例外で午前中から始めるみたい。
ヴィクトリア国王のわがままに、全員が付き合ってるような感じ。

髪をエドの母親にチェックされたけど、特に変更されることもなく。
エドはすごく不満そうだった。


「オレのこと何歳だと思ってるんだろ」
「うらやましいよ」


エドは、母親から離れたいってたまに思うことがあるらしい。
それでも結局、母親好きだけど。

サーとエドと一緒に、運転手のオリバーが待っていてくれる車に乗り込んだ。


「おふたりとも決まってますよ」
「ありがとうございます」


オリバーとはほとんど話したことがない。
城の中でもオリバーを見ることはないし、車に乗る機会がないからだ。
敬語で話さなくていいのは分かってるけど、外せない。

アルバート城を出てから森の中を走って10分もしないうちに、ヴィクトリア城が見えてくる。
ヴィクトリア城の城壁を見ると、オレがアリーを助けたときのことを思い出す。

アリーは、城に戻ってから、何もされていないだろうか。
無事に、暮らせているのだろうか。
…おそらく、何かしらはされているだろう。
何もされていないと考えるのは難しい。
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