Only Three Months
「アリシア、音楽を止めてまで確認することなのか?」
「ええ、お父様。
 とても重要なことです」


ふと王妃のを見ると、オレに微笑んでくれていた。
会釈を返すと、王妃がうなずいてくれた。

王妃はきっと、オレたちの味方だ。
アリーからオレのことを聞いているのかは分からないけど。


「マイクとエドは、大切なお友達です。
 私と一緒に庶民学校へ通ってくださった方たちですから」
「なんだって!!」
「なぜこの舞踏会に入れたんだ!」


貴族たちからの声。
警備兵が近づいてくる。
城の中に入れるこの舞踏会に、庶民がいるってだけで大問題。
オレがアリーと一緒に住んでいたって事実が明らかにならなくても、この大騒ぎ。


「待って、捕らえないで!」


アリーの声が響く。
警備兵の動きが止まる。
捕まれた腕を離してはくれないけど、それ以上拘束しようとはしてこない。


「手を離してあげて。
 ふたりは、何もしませんから」


アリーの一言で、警備兵がオレたちから離れる。
タキシードを少し整えて、アリーを再び見る。

少し動揺したような、アリー。
上手く繕ってるようにも見える。


「…何をしに来たの?」


アリーのその砕けた言葉遣いにつられそうになる。
いちいち、貴族がざわつく。

アリーと名前を呼びたいのを抑える。
使いたくない敬語を、意識して使う。


「…アリシア姫の庶民学校での生活をご報告に参りました」


アリーは何も言わなかった。
オレの意図が分からなくて混乱してるって、目が訴えてくる。


「アリシア、せっかくですから、前に出てきていただいたら?」
「はい、お母様。
 マイク、エド、近くに」


その言葉で、エドと目を合わせてから、王座の近くへ進んだ。
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