Only Three Months
「確かに、この国の法律には、王族を公式の場以外で見かけた場合、すぐに警察に通報する必要があります。
 誰でも、もちろん庶民階級のマイクだって知っているわ。
 マイクは、私を森の中で見つけて、保護してくれただけなの」
「例外はない。
 保護だとしても、庶民の家より城の方がはるかに安全だ。
 保護を理由に、通報しないのはあってはならない」
「国王が、姫に何をしていたかを知ったとしても、ですか」


オレが発言すると、貴族たちがまた静かになる。
国王とアリー、オレは、何の話か分かってるから通じるけど、他の人には分からない。

なぜアリーが森の中にいて、オレに保護されたのか。
それを話す必要がある。


「貴族の方々も、みなさん聞きたがっているわ。
 あなたがアリシアに何をしたのかを」


王妃の声が低くなる。
公の場では使っていない、オレが聞いたことのない声。
国王が王妃を睨んでから、オレを見る。


「今すぐ投獄できるのを忘れてはいないな?」
「それは私がさせません。
 少なくとも、マイケルのお話をすべて聞き終えるまでは」


王妃は、オレの話を最後まで聞いてくれる。
左右に立っている衛兵やドアマンは、国王と王妃、どちらの言うことを優先して聞くんだろう。
普通なら、国王だろうけど…


「マイケル、続きを話してくださる?」
「はい」


ぎゅっと握られる手を握り返して、王妃に向かって話す。
アリーは、強い。
そうでないと、こんな大勢の前で、あの話をするのを許可できない。


「交流会の日の夜、いつも通り日記を持って、城の周りを散歩していました。
 いつも僕が寄りかかって日記を書く木の下に座って、日記を開いたんです」


国王と王妃の仲の悪さが伝わってくる。
きっと今まで上手く隠し通してきたんだろう。
報道では一切見ない姿だった。
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